再生計画が履行不可能になった時に有効なハードシップ免責とは
個人再生では、減額された借金を3~5年で完済する計画が立てられます。
その計画案に基づいて毎月返済を行っていくのですが、何らかの理由で返済が困難になってしまうというケースもあるでしょう。
そうなった時、再生計画の変更を検討することになりますが、計画を変更してもどうにもならないという場合には「ハードシップ免責」を利用することができます。
ハードシップ免責とはどういった制度なのか詳しく解説していきます。
ハードシップ免責制度について
通常であれば、再生計画が履行不可能になると再生計画は取り消しになってしまい、減額された借金が減額前の状態に戻ってしまいます。
そうすると、借金の返済ができないことから自己破産することになることになります。
もちろん再生計画の変更申立てという制度もありますが、病気や怪我によって働けなくなってしまったり、仕事が解雇になってしまって収入が激減してしまったような状態になると、再生計画を2年延長しても返済できない可能性があります。
そういった場合に利用することができる制度が「ハードシップ免責」です。
ハードシップ免責とは
ハードシップ免責とは、再生計画通りに返済を続けていたものの、不可抗力の事由によって収入が途絶えてしまって返済が難しくなってしまったという場合に利用できる救済制度です。
ただし、誰もが受けられるものではなく、一定の条件を満たしている必要があります。
裁判所に申立てを行うことによって免責の決定を受けることができ、民事再生法235条によって認可されれば残債務は免責になります。
ハードシップ免責制度の目的とは
再生計画が不履行になった場合、再生計画が変更になるか取り消しになります。
しかし、再生計画に沿って大半の返済が終わっていて、これまできちんと返済を続けているにも関わらず、病気や解雇といった理由で再生計画が取り消しになってしまうのは理不尽であり可哀そうだと思いませんか?
そのため、これまで真面目に返済をしてきて終盤まで返済が出来ているが、どうしようもない理由で返済できない場合の救済制度としてハードシップ免責制度が設けられているのです。
ハードシップ免責の条件
ハードシップ免責を利用するには、一定の条件をクリアしていなければ利用することが出来ません。
あくまでもやむを得ない理由で返済が出来ず、これまでに大半の弁済が終了していなくてはいけないのです。
ハードシップ免責を利用する条件は以下になります。
4分の3以上の弁済を終えていること
まず第一条件として、再生計画で定められた弁済額の内の4分の3以上の弁済を終えていなくては利用することができません。
4分の3という数字なので、これまでに返済は大半が終えている状態になります。
再生計画の遂行が困難な理由が債務者にないこと
ハードシップ免責を利用するためには、再生計画の遂行が出来なくなってしまった原因が債務者の故意や過失ではない場合でなくてはいけません。
例えば、事故や病気によって働くことが難しくなってしまった場合や、思いがけないリストラによって解雇になってしまった場合です。
そのため、ギャンブルや買い物といった浪費が原因になっている場合は認められないのです。
また、解雇によって収入がなくなってしまった場合でも、自身が原因で解雇された場合には利用できません。
ハードシップ免責が債権者の一般の利益に反しないこと
通常個人再生では、自己破産よりも多く借金を返済することになります。
しかし、ハードシップ免責によって根底が崩れてしまうような場合には認可されないのです。
これは、「清算価値保障」というものに当たりますが、自己破産をすることによって没収されて換価される財産よりも多く返済している必要があるのです。
なぜならば、債権者側からすると、自己破産によって換価していればすぐに現金を回収することができたにも関わらず、個人再生という方法で再建のチャンスを与えているからです。
そのため破産したと仮定した場合よりも多く返済を完了していなくてはいけません。
個人再生の計画延長をしても困難であること
再生計画が不履行になるような場合には、再生計画の取り消しになる前に、返済期間を延長するという制度があります。
再生計画の延長も、病気などの予測できない事態で返済が出来なくなってしまった場合に利用することができます。
そのため、計画を延長することで返済できるのであれば、ハードシップ免責は認められません。
ハードシップ免責による住宅ローンへの影響は?
住宅ローン特則を利用するために個人再生を選んだというケースも多いものです。
そのため、ハードシップ免責による住宅ローンへの影響は最も気になるでしょう。
ハードシップ免責は、免責除外の規定に住宅ローン債権は含まれていません。
そのため、住宅ローンも他の再生債権と同じように残額は免責されることになります。
ただし、ハードシップ免責の認可は債権者が持つ別除権や担保権に影響を及ぼさないため、債権者によって抵当権が行使されて住宅は売却されることになります。
つまり、他の借金を免責にしながら住宅ローンだけを残すということは出来ないのです。
まとめ
ハードシップ免責は、これまで再生計画通りに返済をしてきていたものの、思いがけない理由で返済出来なくなってしまった時の救済措置です。
しかし、利用するには条件がありますし、住宅ローンにも影響を与えます。
再生計画の履行が困難になった場合には、まず弁護士に今後の対応について相談してみましょう。
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初回相談は無料ですので、ぜひご利用ください。