自己破産は家族に被害が及ぶ?破産による家族への影響

代表弁護士 佐々木 光嗣 (ささき こうし)

自己破産を検討している人の多くが、「家族への影響」を懸念しています。
借金を自己破産によって無くして生活を立て直したくても、家族に被害を与えてしまうのではないかと心配してしまうものです。
全く家族に影響が及ばないということはなく、場合によって家族に与える影響の大きさは違います。
同居している家族には事前に相談した方がよいでしょう。
そこで、自己破産が家族にどのような影響を与える可能性があるのか詳しく解説していきます。

自己破産が家族に及ぼす影響

自己破産することによって、家族にどんな影響を与えるのでしょうか?
同居する家族だけでなく、配偶者や子供、親族それぞれにどこまでの影響を与える可能性があるのか見ていきましょう。

同居する家族:生活への影響が大きい

自己破産をすると、財産は換価されて借金返済に充てられることになるので持ち家や車が処分されてしまう可能性があります。
そうすると、引っ越しが必要になったり、車がなくなることで生活が不便になります。
生活環境も変わってしまうので、精神的に負担をかけてしまうことになるかもしれません。
ただし、家や車が必ず差し押さえられてしまうわけではありません。
賃貸であれば住み続けられますし、名義が借金した本人のものでなければ原則的に問題ありません。
また、車もローン返済が終わっており、査定額が20万円以上であれば処分の対象になることがあります。
つまり、同居する家族に与える影響は少しでも済むケースもあれば大きい影響を与える場合もあります。

配偶者:共有財産は影響を受ける

配偶者が保証人でなければ、配偶者が代わりに請求されるようなことはないので直接的な影響はないといえます。
自己破産では、債務者本人名義のものが処分の対象になります。
そのため、配偶者名義のものは処分の対象になりません。
ただし、夫婦の共有財産(共有の住宅など)は処分の対象になるので、影響を避けることはできません。

子供:保証人でない限り大きな影響はない

子供も配偶者と同様に、保証人でない限りは直接的な影響を受けることはありません。
そのため、普段通り通学したり就職することに影響を与えません。
ただし、自己破産をすれば、債務者が契約をして子供のためにかけている保険は解約しなければならないことがあります。
ただし、自由財産として維持することが認められれば、保険を継続できる場合もあります。
解約された場合は解約返戻金が債権者に配当されることになるのです。

親族:保証人であれば影響がある

同居していない親族であれば影響を与える心配はありませんが、保証人になっている場合は影響があります。
自己破産をすることで、保証人が親族の場合は親族が借金の一括返済を要求されることになってしまうのです。
そのため、保証人の付いている借金に関しては事前に話し合いが必要です。

家族にばれることなく自己破産はできる?

家族や親族への影響を説明してきましたが、家族や親族に影響を与えるようなことにはならない可能性があるからといって黙ったままでも自己破産は可能なのでしょうか?
同居している家族は少なからずとも隠し通すことは難しいかもしれません。
子供が小さければ理解できないので問題ありませんが、やはり夫婦間では事前に話しておくことが得策です。
自己破産の手続中には、収入や生活状況を資料として提出しなくてはいけないため、通帳や給与明細などの提出が必要になるのでこっそり用意するのは難しいでしょう。
また、裁判所からの通知や官報への掲載でバレてしまうことも稀にあります。
裁判所からの通知は弁護士に依頼をしていれば弁護士が受け取りますし、官報は一般の人が見ることは少ないので大きな心配はいりません。
しかし、多少なりとも自己破産によって生活に影響は及ぶので、事前に家族には説明しておく方がよいでしょう。

家族への影響を少なくするための解決策

自己破産をすれば借金を無くすことができますが、やはり家族への影響が多少なりとも心配になります。
特に自宅などの財産を失ってしまうという不安がある場合には、自己破産以外の債務整理方法も視野に入れてみてください。
家族への影響も抑えながら、借金の負担を軽減することができます。

個人再生

個人再生では、減額された借金を3年間に分割して返済していきます。
自己破産とは異なって、自宅などの財産が処分されることがないので家族への影響も軽減させられます。
ただし、借金の総額が5千万円以下であり、継続した収入で残債を返済できる場合に利用可能です。

任意整理

自己破産や個人再生とは違い、裁判所を介すことなく債権者との交渉によって返済方法を見直す方法です。
任意整理であれば、保証人の付いている借金は手続きから外すこともできるので、親族や配偶者が保証人になっている借金がある場合には影響を与えることなく借金の返済を見直すことができます。

まとめ

自己破産の手続きをすると、家族への影響は避けられません。
家族関係が悪化しないようにするためには、事前に説明をして納得してもらった上で自己破産をすることが大切です。
少しでも家族への負担を少なくしたいと考える場合には、一人で悩まずに弁護士にご相談ください。
当事務所では、債務整理に詳しい弁護士が相談者様に最も少ない負担で問題を解決できるように尽力致します。