個人再生が不認可や取消しになるケースとは

代表弁護士 佐々木 光嗣 (ささき こうし)

債務整理の1つである個人再生は、裁判所を通して行う手続きであり、借金の大幅な減額によって借金問題を解決することができます。
しかし、その分認可されるためにはさまざまな条件があり、条件をクリアしていない場合には再生計画が不認可になります。
また、場合によっては認可されたものの、その後に取り消しになるケースもあるのです。
個人再生が失敗してしまうケースとはどういったものがあるのか紹介していきます。

個人再生が棄却になってしまうケースとは

個人再生の手続きは、収入の状況や債務総額、生活支出などを提出します。
そして、これらの資料を参考にして再生の見込みがあるかどうかを裁判所が判断するのです。
申立てをしてから2週間~1か月ほどで手続きの開始が決定されますが、再生計画の見込みがないと判断されれば申立ては棄却されてしまいます。
棄却されるケースは以下になります。

債務額が5000万円を超える場合

債務額の合計が5000万円を超える場合には個人再生を利用することが出来ません。
住宅ローンの債務額は除外することが出来ますが、残りの債務が5000万円を超えてはいけないのです。
個人再生は、あくまでも一般の個人が利用することを前提としているため、債務額が大きすぎる場合には通常民事再生や自己破産を選択することになります。

将来、継続した収入を得られる見込みがない場合

個人再生では減額した借金を3~5年の計画で完済していくことになります。
そのため、明らかに収入が不足していたり、将来に継続した収入を得られる見込みがない場合には棄却される可能性があります。
返済の見込みがないにも関わらず認可をしても、返済が難しいですし、生活の再建もできないと判断されるからです。

再生手続きの費用の予納がない場合

個人再生の認可決定を裁判所から受けるには、予納金を納付しなくてはいけません。
申立て手数料で10,000円、官報広告費用として約12,000円のほか、裁判所毎に指定された郵便切手の納付が必要です。
また、個人再生委員を選任する運用を取っている地方裁判所の場合、その報酬として15万円~25万円ほど必要になります。

再生計画案や再生計画の認可の見込みが明らかにない場合

減額された借金を返済していく計画を立てても、債務者の収入を考えると将来的に計画通りの返済が明らかに出来ない場合には認可される見込みがないとして棄却されます。
しかし、弁護士と連携を取ることで実現可能な計画案を作成すれば棄却を予防できる可能性が高まります。

不当な目的で申立てがされた場合

一部の債権者にのみ返済を続けている状態ながらも個人再生の申立てを行った場合には、何らかの不当な目的があると判断されて棄却されてしまう可能性があります。

個人再生手続きが廃止されてしまうケースとは

裁判所に再生計画が棄却されなかった場合でも、手続きが始まった途中で問題が見つかれば、個人再生手続きは廃止されてしまう可能性があります。
その原因は、基本的なことでもある不正や提出期限が守れていないなどといった内容が含まれているので注意しましょう。
廃止される原因は以下のものが挙げられます。

  • 提出した財産目録に不正や虚偽があった場合
  • 申立てをしておきながらも再生計画案の作成見込みがない場合
  • 期間内に再生計画案の提出がされない場合
  • 再生計画案が債権者から否決された場合

再生計画が不認可になってしまうケースとは

債権者の書面決議で否決されなかった場合、再生計画の認可の最終判断は裁判所が行います。
しかし、債権者が反対しなかったとしても、裁判所が認可しないケースもあるのです。
これを「再生計画の不認可」と言いますが、棄却されたり廃止される原因と重なる部分もあります。

  • 再生計画が不正の方法によって成立した場合
  • 再生計画が遂行される見込みがない場合
  • 再生手続きや計画が法律の規定に違反し、それを補正出来ない場合
  • 債権者の一般の利益に反する場合
  • 最低弁済額の要件を満たしていない場合

「債権者の一般の利益に反する場合」とは、清算価値保障を満たしていないケースを指します。
つまり、個人再生をするよりも自己破産をしたときの方が債権者の利益になるのであれば、個人再生は債権者に不利益となってしまうため、自己破産をするケースよりも多くの弁済をしなくてはいけません。
また、個人再生では支払わなくてはいけない最低弁済額が決まっているため、要件を満たしていない場合には個人再生を利用出来ません。

再生計画の認定後に取消しになってしまうケースとは

裁判所によって再生計画の認可が決定されたにも関わらず、その後に再生計画が取り消しになってしまうこともあります。
そのため、再生計画の認可が確定したからと言っても安心出来ません。
以下のことに気をつけて、取消しにならないようにしましょう。

再生計画が不正の方法で成立した場合

裁判所に提出した書類に虚偽の記載があることが判明した場合などに適用されます。
多いケースとしては、財産を隠す目的で記載すべき財産を申告しないことが挙げられます。
財産目録など提出書類は隠すことなく誠実に記載しましょう。

再生計画の履行を怠った場合

個人再生では、再生計画通りに毎月返済を行っていきます。
この計画通りに返済がされなかった場合には、再生計画が取消しになってしまいます。
うっかり返済が遅れてしまったという1度のミスで取消しになるというわけではありませんが、何度も返済が滞ると取消しになる可能性は高まります。

まとめ

個人再生が失敗してしまう原因は非常に多く、個人で手続きを進めると不備が出てしまう可能性があるので失敗する可能性が高まります。
個人再生の認可を受けるためにも、専門知識のある弁護士に依頼するようにしましょう。
当事務所で多数の個人再生を認可まで導いた弁護士が、手続きや書類作成など相談者様の有利になるようサポート致します。
相談者様に最も適した借金問題の解決方法の提案をモットーにしているので、安心して問題解決をお任せください。