過払い金請求の時効である10年以上を経ったケースでも請求は可能か?

代表弁護士 佐々木 光嗣 (ささき こうし)

過払い金とは、貸金業社に利息制限法の上限以上の利息を超えて支払い過ぎている利息のことで、返還請求することができます。
しかし、過払い金請求の時効は10年という言葉をよく耳にすると思います。
もし時効である10年が過ぎてしまっている場合には過払い金請求をすることは出来ないのでしょうか?
時効から10年経ってしまったケースの過払い金請求について詳しく解説していきます。

過払い金と時効について

現在では高金利での貸し付けが禁止されているので、過払い金が発生することはありません。
しかし、2008年頃までの借入れの場合は過払い金が発生している可能性があるのです。
ただし、過払い金を請求するには時効があるため、いつまでも請求権があると安心していてはいけないのです。
まずは、過払い金請求の時効の基礎知識を知っておきましょう。

過払い金請求の時効は10年

民法703条に規定されている不当利益返還請求権によって、過払い金は貸金業者に返還を請求することができます。
ただし、請求権はいつまでも継続しているわけではありません。
債権は行使されない状態が10年間継続すると権利が消滅することが民法167条1項(平成29年法改正前)で規定されており、過払い金も債権扱いになるため10年で時効が消滅することになるのです。
時効の起算日は、最終取引日(最後の貸付け又は最後の返済)からです。

時効が過ぎていても請求できる?

10年以上前に完済してしまっているから過払い金請求出来ないというわけではありません。
ケースバイケースにはなりますが、過払い金を取り戻せる可能性もあるのです。
完済していても、再び同じ貸金業者から借入れをしている場合には、完済前の分を含めて請求することができる可能性があります。

10年以上経っていても過払い金請求できるケースとは

過払い金請求の時効である10年以上を経過していても場合によっては請求することができることが分かりました。
それでは、具体的にどういったケースで過払い金請求が可能となるのか見ていきましょう。

同じ貸金業者に現在も返済をしているケース

同じ貸金業者で借入れと完済を繰り返し行っている人も少なくありません。
その場合、複数に渡る取引になっているのか、それとも一つの契約として扱われているのかによって時効の起算日が変わってくるのです。

複数の取引をまとめて一つの取引として扱っている場合には「一連」と言い、前回の基本契約のまま貸付が行われています。
この場合には、最も直近で完済した日が時効の起算日となります。
そのため、時効である10年以上前に完済した取引が含まれている場合でも過払い金請求が可能になるのです。

しかし、同じ貸金業者で何度も取引している場合でも、それぞれの取引が別々の取引として扱われている場合には「分断」とされます。
そうすると、それぞれの借金を完済した日が時効の起算日になるため、10年以上前に完済している取引に関しては時効を迎えていることになります。
つまり、分断前の分の過払い金請求が出来なくなってしまいます。

一連と分断の判断方法

同じ貸金業者と複数回の取引をしている場合でも、一連の取引とされるのか分断とされるのかによって時効の起算日が大きく変わってしまいます。
しかし、一連と分断の判断方法は法律上で明確な決まりがあるわけではありません。
どういった部分で判断されるのかというと、まずは取引と取引の間の期間です。
完済してから再度借入れするまでの空白期間が長いほど別々の取引であると判断されてしまいます。
大半は空白期間が1年以上ある場合には、貸金業者は分断を主張する傾向があります。

また、空白期間があるような場合にもクレジットカードのキャッシングのように契約の更新や年会費を支払っているようなケースでは一連の取引として認められることが多くなっています。

まずは弁護士に相談してみよう

過払い金請求の時効である10年が経過している場合でも、もう取り戻すことはできないと諦めることは早いのです。
そもそも、いつ借金を完済したか記憶自体があいまいであるというケースも多いですから、まずは取引履歴を取り寄せて調査を行うことが肝要です。
まずは、弁護士に相談して過払い金請求が可能であるのか、またどれくらいの金額が取り戻せるのか相談してみましょう。
過払金の金額や、時効の判断は個人では難しいものです。
悩んだり、自身で解決しようとして時間をかけている間にも時効は進行している可能性があります。
そのため、過払い金請求に関する相談は1日も早くすることをおすすめします。

まとめ

当事務所では、過払い金請求の担当経験の豊富な弁護士が、過払い金の時効や金額などを調べて対応致します。
過払金が発生しているか分からないといったケースでもお調べすることができますので、ご安心ください。
相談者様が少しでも早く問題解決をして、新しいスタートを切れるようにサポート致します。
まずは、無料相談からお気軽にご相談ください。