保証人と連帯保証人は違う?保証人と連帯保証人の違いを解説

代表弁護士 佐々木 光嗣 (ささき こうし)

借金をする時には、「保証人」や「連帯保証人」といった債務者を保証する立場の人を立てることを求められます。
言葉が似ているので、保証人も連帯保証人も同じだと考えられがちですが、この2種類は役割や義務などが異なります。
保証人と連帯保証人にはどんな違いがあるのか詳しく解説していきます。

保証人と連帯保証人

保証人とは、借金における人的担保になります。
万が一、債務者が借金の返済を行えないような場合には、保証人が債務者に代わって債務の履行をすることを保証する人のことを指します。
保証人には通常の保証人と、連帯保証人の2種類があります。
どちらも債務者の肩代わりをするという点では同じですが、違いもあるのです。
通常の保証人は、債務者がどうしても返済ができない場合にのみ代わりに返済をします。
一方で、連帯保証人の場合は、債務者と同様の義務を背負うことになるのです。
つまり、連帯保証人の方が大きな責任を背負うことになると言えます。

保証人と連帯保証人の違いとは

保証人と連帯保証人では、請け負う責任が違うことになります。
なぜ違いが出てくるのかというと、「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」「分別の利益」の3つが保証人には認められているからです。
この3つの制度によって、保証人と連帯保証人に違いが出てきます。

催告の抗弁権

「催告の抗弁権」は、債権者の請求に対して、まずは債務者へ先に十分な請求を行うように求めることができる権利のことです。
保証人は、債務者が行方不明や破産している場合を除いては、先に債務者へ請求することを主張することができます。
しかし、連帯保証人にはこの権利がないため、債権者が債務者に請求することなく連帯保証人に請求をしたとしても文句を言うことは出来ません。

検索の抗弁権

「検索の抗弁権」は、債務者に財産がある場合には、債権者に対して先に債務者へ請求するように求めることができる権利です。
もし債務者が借金を返済できるほどの財産があるにも関わらず、債務者が返済を拒んだ場合には債権者へ先に債務者の財産を強制執行することを主張できます。
ただし、主張するには債務者に資産があることや、強制執行ができる状況であることを証明する必要があります。
連帯保証人には検索の抗弁権がないため、債務者に財産があるにも関わらず返済を拒否したとしても代わって返済をしなくてはいけません。

分別の利益

「分別の利益」は、保証人が複数人いる場合には、保証人の人数で保証額を割った金額が上限になるという仕組みです。
例えば、500万円の借金に対して5人の保証人がいる場合には、保証人は1人頭100万円を支払うことになります。
残りの400万円に対しては責任を負う必要がなくなるのです。
しかし、連帯保証人には分別の利益がないため、全額の返済義務が発生します。

債務整理における連帯保証人

保証人に比べると借金の返済に関して大きな責任を負うことになる連帯保証人ですが、債務整理においても責任が発生します。
任意整理・個人再生・自己破産を債務者が行った場合、連帯保証人にはどのような責任が発生するのでしょうか。

任意整理の場合

任意整理の場合は、対象とする債務を選ぶことができます。
つまり、連帯保証人に迷惑を掛けたくない場合には、連帯保証人付きの借金を任意整理の対象から外せばいいのです。
そうすれば、請求が連帯保証人に行くことはありません。
また、連帯保証人付きの債務を対象にしたとしても、任意整理であれば迷惑を掛けずに済むケースもあります。
任意整理では、個人再生や自己破産に比べると債権者に大きな損害が出るわけではありません。
ただし、任意整理をした後に返済が出来なくなった場合には、連帯保証人に請求がいくことになります。

個人再生・自己破産した場合

個人再生や自己破産の場合は、任意整理と違って整理する債務を選ぶことができません。
そのため、連帯保証人に請求がいくことは避けられません。
自己破産であれば財産を換価して借金に充てますが、残りの借金は免責されます。
個人再生では借金の金額や状況によって異なりますが、最大9割が減額されることとなり、多くは5分の1ほど支払えばいいとされます。
そうなると債権者の損害は大きくなるため、損害が出ないように連帯保証人に請求をするのです。
そして、連帯保証人には債務者が支払うことが出来ずに残った借金全額を返済しなくてはいけない義務が残るのです。
個人再生や自己破産の手続きを行う際には、連帯保証人に迷惑と負担をかけることになるので事前に相談しておきましょう。

まとめ

保証人と連帯保証人では債務に関する責任の大きさがかなり異なりますが、迷惑を掛ける可能性があるという部分では同じなのです。
迷惑を掛けることを避けるためには、債務整理をする際には任意整理を選ぶべきでしょう。
しかし、任意整理では問題解決できないケースもあります。
まずは、どういった債務整理方法が自身に合っているのかを知ることが大切です。
当事務所では、債務整理を多数手がけた弁護士が無理のない方法で借金問題の解決をサポートします。
初回相談は無料ですので、自身で決定を下す前にご相談ください。